こんにちは!ヒライ王子です。
今回は、「教員って忙しいって言うけど、どれくらい忙しいの?」という疑問にお答えしたいと思います!
この記事を読むと…
★教員の忙しさがどれほどのものかわかる!
★教員がなぜ忙しいのかがわかる!
1.【前提】ヒライ王子はどのような教員だったか
教員が忙しいかどうかというのは、校種(小学校、中学校、高校、定時制etc.)やその学校(職場)、教科、立場によっても変わります。
そこで、この記事を読むための前提として、ヒライ王子がどのような属性の教員だったのかを(特定されない程度にw)まとめておきたいと思います。参考にしてください。
●中学校・高校での勤務経験。普通科。
●都市部の学校。学校としての規模はやや大きめくらい。
●教科→社会科
●担当していること→教科業務、学年業務(副担任・担任)、部活動顧問、校務分掌(教務部とか進路指導部とかそういうやつ)
●部活はさほど盛んではない学校
上記のような属性なので、小学校や特別支援学校(学級)、部活が盛んな学校など、属性の異なる学校では、また異なった忙しさがあるのだろうと思います。あくまで、参考までに。
2.教員はどれほど忙しいのか伝えたい!
それでは本題。「教員は忙しいのか?」という問いについて考えてみましょう。
2-1.教員のスケジュール
そのための手がかりとして、ヒライ王子のある1日の大体のスケジュールを書き起こしてみたいと思います(担任・授業週17コマと仮定)。
7:20~30 出勤(規定上の始業時間は8時以降)
~8:10 欠席・遅刻者連絡への対応、職員朝礼・打ち合わせ
8:20~ 朝のHR
8:40~12:30 午前の授業(1~4時間目。平均2,3コマは授業)
12:30~13:20 昼休み(時間割上の話)
13:30~15:20 午後の授業(5・6時間目。多いと2コマとも授業)
15:30~ 終礼・放課後
19時前後 退勤
といった感じです。もう少し具体的に見ていきましょう。
・朝のHRまで
欠席・遅刻者の連絡対応、配布物の整理、教職員での連絡事項の確認、打ち合わせ、場合によっては生徒対応ということを断続的に行っています。
とくにコロナ感染症が広がってからあとは、ここに検温対応の業務も入り込んだため、業務がてんこ盛りです。
・朝のHRが終わったら…授業
授業のコマ数は教員によりますが、いくつかのアンケート結果からも、15~20コマ辺りが多いようです。
※参考①:平成18年度文部科学省委託調査「教員勤務実態調査(高等学校)」報告書 [2006年]
ヒライ王子も大体17コマ前後でした。
なので1日3コマちょっと授業をしている感じになります。
「なーんだ、1日の半分くらいが空きコマなら、忙しくないじゃん!」
そう思ったそこのあなた!そんなことはないです。
ヒライ王子の場合は、空きコマに授業準備できることの方が珍しかったです。
2-2.教員は空きコマに何をしているのか
では、教員は空きコマに何をしているのでしょうか。
その中身は非常に多岐にわたりますが、大体次のようなことをしています。
・会議、打ち合わせ(教科・学年・学校全体に関わるものなど)
・担任、教科担当をしている生徒に関わる書類等の処理
(出欠関係、配布物・回収物etc.)
・集会での資料の準備
・保護者対応
・事務処理(校内用資料の作成、経費関係など)
・テスト前期間→テストの作成、チェック
こんなことをしていたら、1コマなんてあっという間に過ぎていきます。
腰を据えて教材研究・授業準備をしている暇はありません。
2-3.授業準備は「コマと種類」で変わる!
また、授業に関して言えば、1日に何コマ授業があるのかによって、その日の忙しさは変わってきます。
さらにそれと同じくらい重要なのが「授業の種類」です!
たとえば、社会科の授業に次のA~Dの4種類があるとします。
授業名 | 1週当たりの授業コマ数 |
---|---|
A | 週5コマ |
B | 週3コマ |
C | 週2コマ |
D | 週1コマ |
上記の例で言うと、授業Aは週に5コマあるので、1週間に5コマ分の授業を準備しなければいけないことを意味します。
仮に、次のようなX先生がいたとします。
授業種類 | 週当たりコマ数(a) | 担当クラス(b) | コマ数計(=a×b) |
---|---|---|---|
B | 3コマ | 3クラス | 9コマ |
C | 2コマ | 4クラス | 8コマ |
1週間合計コマ数 | 17コマ |
X先生の場合、週に17コマの授業がありますが、1週間に作る授業の種類は授業Bの3コマ分と、授業Cの2コマ分の計5種類で良いことになります。
(※担当クラスが3クラス=同じ授業を3回繰り返す、ということ)
もちろん、1度授業をすると修正したくなる箇所が出てくるので、微修正はしますが、新規の授業を作る必要はありません。
仮に1コマの空きコマで1種類の授業を作ったとした場合、時間割は次のような埋まり方になります。
※X先生の時間割イメージ
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
1 | 授業B-1組 | 空き (授業B準備) |
授業C-1組 | 空き | 授業B-2組 |
2 | 授業B-2組 | 授業B-1組 | 授業B-3組 | 空き | 授業C-4組 |
3 | 空き (授業B準備) |
授業B-3組 | 空き | 授業B-1組 | 空き |
4 | 授業C-1組 | 空き (授業C準備) |
空き | 授業B-3組 | 授業C-2組 |
5 | 空き (授業B準備) |
授業B-2組 | 授業C-3組 | 空き | 空き |
6 | 授業C-2組 | 空き (授業C準備) |
空き | 授業C-4組 | 授業C-3組 |
他方、次のようなY先生がいたとしましょう。
授業種類 | 週当たりコマ数(a) | 担当クラス(b) | コマ数計(=a×b) |
---|---|---|---|
A | 5コマ | 1クラス | 5コマ |
B | 3コマ | 2クラス | 6コマ |
C | 2コマ | 2クラス | 4コマ |
D | 1コマ | 2クラス | 2コマ |
1週間合計コマ数 | 17コマ |
Y先生もトータルでは週17コマになりますが、授業種類がA~Dの4種類あります。
つまり、Y先生は1週間のうちにA(5コマ)、B(3コマ)、C(2コマ)、D(1コマ)の11種類の授業を作らなければ、1週間を乗り切ることができません。
つまり!同じ17コマでも、1週間のうちに2種・5コマ分の授業を作ればよいパターンと、4種・11コマ分の授業を作らなければいけないパターンがあり得るのです。
Y先生の場合、仮に1コマの空きコマで1種類の授業を作ったとしても、空きコマ11コマ分は潰れてしまいます。
※Y先生の時間割イメージ
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
1 | 授業A | 空き (授業A準備) |
授業C-2組 | 空き (授業C準備) |
授業C-2組 |
2 | 授業B-1組 | 授業A | 授業A | 空き (授業C準備) |
授業B-1組 |
3 | 空き (授業A準備) |
授業D | 空き (授業B準備) |
授業A | 空き |
4 | 授業C-1組 | 空き (授業A準備) |
空き (授業B準備) |
授業B-2組 | 授業D |
5 | 空き (授業A準備) |
授業B-2組 | 授業B-1組 | 空き (授業D準備) |
空き |
6 | 授業B-2組 | 空き (授業A準備) |
空き (授業B準備) |
授業C-1組 | 授業A |
上記表のように、17コマの授業+11コマの授業準備=28コマ分は消費されてしまうわけです。
そして先述したように、実際には空きコマで処理しなければならない授業準備以外の業務が大量に存在するため、空きコマをフルに授業準備に充てることはほぼできません。
また、1コマ分の時間で1つの授業を作ることができるとも限りません。
ゆえに、たとえ種類の少ないX先生の場合であっても、1週間の就業時間内に授業を作り切れるとは限らないのです。
2-4.昼休みと放課後は何をしているのか
「昼休みや放課後があるじゃないか!」とお思いの方もいるかもしれません。
しかし、昼休みや放課後には、次のようなことが行われます。
【昼休み】
・生徒と一緒にお昼を食べる
・面談、質問対応(生徒が授業時間ではないからこそ…)
【放課後】
・部活動
・面談、質問対応
・日中に終わらなかった諸々の作業の続き
・会議、打ち合わせ
このようなことをしているとあっという間に時は過ぎ、気づけば18時、19時…となってしまうわけです。
そうして、職場にいる間に授業作り切れない場合は、家に持ち帰るか、休日に作るしかなくなるのです。
とくに授業準備・教材研究は、学校でなければできない仕事、という性質が他業務に比べて薄いので、どうしても職場にいる時の仕事の優先順位としては低くなってしまいがちなのです。
教員の忙しさの実態が少しでも伝わってでしょうか。
3.補足とヒライ王子的提言
2でお伝えした例はあくまでも一例です。
ヒライ王子の職場の人でも、キャリアを重ねていたり授業準備がうまい先生は、就業時間内に終わらせて、ほぼ定時で帰ったり、休みの日は休みの日としてしっかり休まれている先生もいました。
実際、ヒライ王子も年数を重ねるごとに授業準備はだんだんと効率化されていきました。
ですが、相手にする生徒の特徴は毎年変わります。また、1年間やってみて、次の年にはもっとこうしていこうと授業改善を行うことも教員にとっては大切なこと。
そう考えると、効率化されていくとはいえ、毎年試行錯誤しながら授業を行うので、忙しさの根本的な解決にはなりません。
ヒライ王子は個人的に、教員の働き方改革のためには次のようなことが必要だと思っています。
(学級担任制を継続するのであれば…)
・人員を確保して、1人当たりの授業コマ数と種類数を軽減する
・部活動、事務作業など、教員でなくてもできる業務のあぶり出しと
アウトソーシング
もちろん、忙しい中で生徒と授業をしたり、生徒と学校生活を過ごしていくことは、本当に楽しいことなんですけどね!この辺りについても、いつか記事にしようかなと思っていますのでお楽しみに。
それではまた!ヒライ王子でした☆彡